「釈迦涅槃図」
お釈迦様の涅槃(逝去のとき)の様子を描いた絵図です。お釈迦様や菩薩様には金箔が施され優美に描かれています。 多くのお弟子様たちをはじめ、舞い降りる天女・獣たち・鳥や虫、すべての生けとしいけるものが生気を失い、草木は白く枯れ、 すべてのものがその入滅を悲しんでいる様子がよくわかる絵です。
涅槃図はお釈迦さまの入滅という悲しみの中にも、仏教画としての荘厳さを保たなければなりません。さらには、命の終焉を描くと共に、 教えの永劫性を表現することが求められます。このような、一見すると矛盾する課題を仏教の教えに沿って一枚の絵の中に凝縮させていったものが涅槃図です
龍雲寺の涅槃図
龍雲寺の涅槃図は京都の仏絵師である「岡本治郎左衛門」(おかもとじろうざえもん)に先祖供養の為に依頼し、小沼甚五左衛門という方が天保六年(1835年) 9月29日に寄進したと記録に記されています。いまから約180年以上昔のことです。当時は乗り物などなく、京都から何人かで担いで歩いてきたと伝えられています。
龍雲寺の涅槃図も最後に修理した約80年前から時間がたち、影軸のまわりの劣化が激しくなってきました。来年2018年に再び生まれ故郷である京都の地で職人による 修復作業を依頼する予定です。